オオムギは古くから栽培されてきた穀物の一種で、中央アジアが原産です。馴染みのある小麦に比べて乾燥・低温・塩害にも耐性があるため、より厳しい環境での栽培にも適しています。古代メソポタミアやローマでは粥のようにしたものが主食とされ、オオムギを発芽させた麦芽はビールやウィスキーでも良く知られています。オオムギは小麦と違いグルテンが少ないのでパンや麺類などにはあまり使用されておらず、日本では麦茶や麦焼酎、麹を使った醤油・味噌などとしての利用が一般的です。特に最近取り上げられているのはオオムギの食物繊維です。豊富に含まれている食物繊維のうち、半分以上がβ–グルカンなどの水溶性食物繊維が占めています。水溶性食物繊維は、腸に到達し水分と混ざるとドロドロとしたゲル状に変化し、腸での消化や吸収を緩やかにします。そして余分なコレステロール・脂質を吸着させ身体の外へ排出させる働きがあり、便自体も柔らかくします。また不溶性食物繊維は水分を吸い込み膨張します。そのため便の体積を増やす他、膨張することで腸が刺激され、動き(ぜんどう運動)を活発にさせる働きがあるので、摂取した食物を体内から排出する時間を早めます。腸で膨張する点に関しては長く満腹感が得られるので、糖尿病予防やダイエットにも適しています。この性質の異なる2種の食物繊維は血中のコレステロール値・血糖値の上昇を抑制する働きやBMI値を下げる効果があります。オオムギの麦芽は、他の麦類の麦芽に比べてアミラーゼなどの酵素を多く含んでおり、粉末にしたものが青汁にも利用されています。古来より漢方薬としても利用され、胃腸機能の促進に効果があり、消化不良、食欲不振、下痢や嘔吐などに服用されていました。